【週刊 戦略調達 vol.81 2010.10.26】
数字はツールであって、ゴールではない。J1大宮、入場者数水増し

【実際のケースで学ぶ「外部品調達におけるトラブルと信頼性評価、
リスクマネジメント」セミナーのご案内】

11/4(木)に開催される株式会社日本テクノセンター様主催の「外部品調
達におけるトラブルと信頼性評価、リスクマネジメント」セミナーで弊社
代表の中ノ森が講師を務めます。

本セミナーでは、トヨタのアクセルペダル不具合の事例をケースとして取
り上げ、外部品調達におけるトラブルやリスクについて理解し、それらに
対処するための調達・購買のあり方について、演習・ディスカッションを
交えわかりやすく解説します。

詳細ならびにお申し込みは、
http://www.j-techno.co.jp/test/index.cgi?mode=sem&unit=2010110401
よりお願い申し上げます。

※尚、今回は講師割引で受講料が案内ページ記載の金額から1割引きにな
ります。お申し込みの前にこのメールへの返信で構いませんので、ご所属
企業・団体とお勤め先メールアドレスを添えて、当セミナーの参加希望の
旨お伝え頂ければ、講師紹介の手配をしますのでご連絡下さい。

今回のセミナーでは、ケースにより具体的な事例を深堀していきます。ま
た、トヨタのアクセルペダル不具合は、品質の考え方が大きく変わった事
例と捉えられ、今回のセミナーではそうした新しい視野の提供にもお役に
立つかと存じますので、是非、ご参加頂ければと存じます。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【今週のトピックス】

サッカーのJリーグ1部(J1)の大宮アルディージャは、2007年11月11日以
降のすべての主催試合58試合で合計11万1000人の入場者数の水増しを行っ
ていたことを発表した。2007年4月に大宮は「09年までに年間観客動員30
万人」を目標に定めたが、その目標が未達成になることを恐れたのが今回
の水増しの背景のようだ。

ここで「だから数値目標はよくない!」などという短絡的なことを述べる
つもりは毛頭ない。数値目標、数値による管理はあくまでもゴール達成の
ための手段に過ぎず、本来のゴールではないが、非常に有効なツールだ。

一つの数字だけ見ていては何も分からないが、その数字が作られた裏側に
思いをめぐらせれば、実は数字は色々と語ってくれる。大宮が2009年まで
に年間観客動員30万人の目標を立てたのは、もともとは、入場者の拡大
によるチケット、ゲーム時の飲食、関連グッズ売上の増加、ファンの増加
による関連収入の増加であったはずだ。

また、様々な努力をしなければ、入場者数の増加といった数値を達成でき
ない。つまり、それが本物の数字であれば、その前に様々な施策の実施と
それへのお客様の反応があり、そのお客様から得られる飲食、グッズ、関
連事業の収入と実態を伴うものである。だから、それが本物の数字か、水
増しされたウソの数字かは、こうしたその数字の裏にあるべきストーリー、
実態との整合性を少し考えれば、すぐに見抜くことができる。

大宮アルディージャの公式発表によると、今回のケースでは幹部2名が水
増しを主導していたとのことなので、あいにくそうしたチェック機能が働
かなかった。現場では気づいていても、上の人間がしていることなので、
指摘ができなかったのかもしれない。

数値目標、数値管理をどう使いこなすか、数値目標にどう振り回されない
ようにするかというのは、一サッカーチームだけの問題ではない。ビジネ
スの世界でも、数値目標、数値管理は何らかの形でほぼすべての企業のあ
らゆる現場で用いられている。担当レベルから経営トップの様々な意思決
定、評価に数字が使われる。その時に誤った数値に基づいて意思決定、評
価していては、望むべき結果が得られない。誤った数値が出てくるのは、
必ずしも数値目標のプレッシャーに負けての悪意のあるものばかりではな
い。単に間違い、ミスということもよくある。数値を扱う時には、データ
を提出する側もそれを使う側も、数字は意図的あるいは誤って正しい数字
が出てこないことが多々あるということを、常に頭の片隅に置いておいた
方がよい。

たとえば、我われ調達・購買の世界では、よく価格、コスト削減額といっ
た数値が使われる。サプライヤから非常に魅力的な価格が提示された時、
すぐにそれに飛びついてはいけない。なぜ、その価格が出せるのか、それ
が持続可能かものか、少し考えてみよう。その価格に飛びついて、折角、
苦労して技術、製造部門を説き伏せて、そのサプライヤに切り替えた所、
その価格は単に今回の注文に限った挨拶価格で、次からの注文ですぐに値
上げを要請してくるかもしれない。競合に比べて1割も価格が異なるのであ
れば、他社にはない技術を用いている、材料・部品を上手く調達している、
工程が簡素化されている等の何らかの工夫か、あるいは、それまで調達活
動をまったく徹底していなかったといった理由があるはず。

こうした視点は管理者、経営者にも不可欠だ。調達・購買担当者が5%の
コスト削減を達成したと報告してきたら、手放しで喜ぶ前にそのコスト削
減がどのようになされたかを確認してみよう。単に物流費を切り出して、
物流部門に付け替えただけかもしれない。あるいは、単に新規品の取引で
初回見積から5%下げただけかもしれない。これでは、貴社のコスト構造、
損益分岐点は何も変わっていない。

コスト削減には、取引条件、取引先、仕様など何らかの変更が伴う。担当
者の言っているコスト削減が本物ならば、数値の裏にあるそうしたストー
リーを報告するのは簡単だ。反対に、出てきた数値にそうした裏付けがな
かったら、何かがおかしいと疑うべき。

一つの数値だけ見ていては何も分からないが、その原因、波及効果に思い
を寄せれば、その数字が本物かウソかはすぐ分かる。数字一つに一喜一憂
するのではなく、その数字がそうであるならば、何がなされ、何が起こっ
ているべきかまで考えよう。そして、そういう施策が打たれているか、起
こるべき波及効果が出ているか、違う数字や情報を集めてみよう。そうす
ることによって初めて元の数値が何を意味するのか、本物の数字かウソの
ものかが分かってくる。そして、今、何が起こっているのか、これからど
うすべきなのか、色々と語りかけてくれる。そうすれば、数字に惑わされ
ることなく、目指すゴールを達成するためのツールとして、上手に数字を
活用することができる。

数字そのものは嘘はつかない。数字が嘘をつくのは、それを使う人間によっ
てのみだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング継続調査のご案内】

弊社では、調達・購買業務のあるべき姿と日本の現状、各社様の状況を明
らかにするストラテジックソーシングスコアカードを活用したベンチマー
キング調査を継続的に行っています。

当調査は日本の調達業務の礎づくりという観点から、無料にて実施してい
ます。調査にご協力頂いた方には、漏れなく2010年春に実施した調査・分
析結果をまとめた「2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング調
査報告書」ならびに次回更新版(2011年春実施予定)を差し上げます。

調達業務のあるべき姿、他社との比較の中での貴社の現状、今後の改善点
を把握する上で、参考になる情報を提供できるかと存じますので、より多
くの方々にご協力賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

当調査の詳細と継続調査への参加申し込みについては
http://www.samuraisourcing.com/service/benchmark/ をご覧下さい。
    
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【株式会社 戦略調達からの他の情報提供のご案内】

※弊社からの情報提供は、調達・購買・物流関連業務に携わっている方向
けに行っているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、コンサ
ルティング業やソリューション提供業の方の申し込みについてはお断りさ
せて頂きます。ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

■「購買プロフェッショナルマネジメント企業から見た購買の方向性」講演
資料公開中

当資料では、間接材、本社購買、総務購買、販売管理費品目を中心とした
購買業務の方向性と、日本企業のこれらの購買業務の現状、今後の取組の
具体的な方向性についてご紹介しています。

間接材の購買を担当されている方は是非ご覧下さい。まだ、弊社のweb会
員でない方は、これを機に是非ご登録頂ければと存じます。

既に弊社web会員様で講演資料をご覧になりたい方はこちら⇒
http://www.samuraisourcing.com/member/pdf/100827_ssi_Biznet.pdf

web会員登録のお申し込みはこちら(無料)⇒
http://bit.ly/aEJAK0

■調達・購買コスト削減、業務改善にお悩みの方必見!「どこから始める
 調達・購買コスト削減?」セミナーテキストを無料配布】

弊社では、先般開催し、高い評価を頂いた「どこから始める調達・購買コ
スト削減?」セミナーテキストを無料配布しています。

詳細はこちら⇒http://samuraisourcing.com/news/post_10.html

セミナーテキストの申し込みは、タイトルを「どこから始める調達・購買
コスト削減セミナーテキスト希望」として、

    * お名前
    * 会社名
    * 部署名
    * 役職名
    * お勤め先メールアドレス
    * 電話番号

をご記入の上、ms1@samuraisourcing.com 宛に、もしくはこのメールの返
信にてお申し込み下さい。

■調達・購買から始める環境経営、環境調達.com
弊社では、喫緊の課題である環境問題に調達・購買活動から貢献すべく、
環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それに資する優良なサ
プライヤの紹介など、企業の調達・購買活動からできる環境経営に関する
情報発信を行う、環境調達.comを運営しています。

環境調達.comはこちら⇒ http://samuraisourcing.com/knowledge/green/

環境調達.comの開設に合わせて、毎週木曜日+都度、環境調達.comの新着
トピックスを無料でお届するメールマガジン「環境調達.com」の配信も開
始しました。メールマガジン「環境調達.com」のご購読はこちら(ご購読
は無料)⇒ http://www.mag2.com/m/0000293666.html

■調達・購買部門のマネジメントblog 「調達・購買部門の縦と横」
調達・購買部門のマネジメントのあり方について、1.部門マネジメント、
2.体系化、3.実践という弊社独自の視点により、ブログ形式でまとめ、弊
社サイトにご登録頂いた方に限り公開しています。詳細はこちら⇒
http://samuraisourcing.com/knowledge/blog/

■調達・購買プロフェッショナル登録
当制度は、弊社でのポジションの有無に関わらず、調達・購買業務でキャ
リアを形成したいという方々に、希望する調達材カテゴリやご経歴などを
伺い、適したポジションの募集が生じた場合に、優先的にご登録頂いた方
へ働きかけるものです。

ご登録頂いた方には、定期的情報提供やトレーニング、各人の研鑽を目的
としたディスカッションセッションなどへのご招待といったメリットがあ
りますので、是非ご登録をお願いします。詳細はこちら⇒
http://samuraisourcing.com/recruit/recruit/entry.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【弊社のお勧め】

■『 中国調達とものづくりの現場から』(メルマガ)
バイヤーキャリア15年、中国調達7年の産機部品バイヤーのZhenさんの中国
調達実践論。その視点は、中国調達だけでなく、すべての調達に通じます。
無料購読はこちら⇒ http://www.mag2.com/m/0000241825.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

大宮アルディージャの渡邉誠吾社長は、水増し計上の責任を取り、辞任す
る予定です。また、当件を主導したとされる幹部二名は、社内規程に基づ
き処分されるとのこと。

ツールに過ぎない数字を操作して上げることに血眼になっても意味があり
ません。そんな暇があれば、少しでも本来のゴールに近づける努力をした
方がよいということを今回のケースは教えてくれています。(山本)

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
 www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
■ご意見、ご感想、お問い合わせは ms1@samuraisourcing.com
  トピックスの選定や構成も皆様の声に合わせていきます  ので、ご意見、
  ご感想をお寄せ下さい。(このメールへの返信でできます)
■引用、転送などは、出所を明記して頂ければ、了承を得たものとします。
■よろしければお知り合いや職場の方々へ、この「週刊 戦略調達」をご
 紹介・ご転送下さい。「週刊 戦略調達」のご購読申し込み(ご購読無
 料)は⇒ http://www.mag2.com/m/0000288812.html

このページの先頭へ