ナレッジ  » 週刊 戦略調達 vol.64 2010.6.29

【週刊 戦略調達 vol.64 2010.6.29】
事業仕分けを仕分けする~(4)決める前に削ぎ落とす

【ビジネス誌「Bizteria経営企画」にて「利は元にあり~グローバル競争
時代の新解釈」連載開始】

経営者や経営企画担当者向けのビジネス誌「Bizteria経営企画」にて、弊
社代表の中ノ森が、「利は元にあり~グローバル競争時代の新解釈」とい
うタイトルで、支出管理(Spend Management、スペンドマネジメント)に
ついての連載を担当させて頂くこととなりました。

Bizteria経営企画は隔月を目処とした不定期発行のフリーペーパーです。
記事の一部は「Bizteria経営企画」のwebサイト
( http://www.bizteria.com/vol29/kiji7.htm )でご覧頂けます。購読
の申し込みは、そのページの下にある「続きを読む」のリンクから行なっ
て下さい。購読費用は掛かりませんので、記事のさわりだけでもまずは一
度ご覧下さい。
   
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【第1回テキサス大学オースティン校
  McCombs MBA 非公式分校開催のご案内】

弊社の活動ではなく、代表の中ノ森の私的活動ですが、第1回テキサス大
学オースティン校 McCombs MBA 非公式分校の開催についてご案内します。

詳細はこちら( https://www.insightnow.jp/communities/id/79 )をご
覧頂きたいのですが、McCombs MBA 非公式分校は、McCombsのMBAプログラ
ムの教育方法を参考にしながら、自分達で最新のマネジメントに関る知識
を修得し、それを自分達が抱えるリアルの問題解決に用いて成果を上げる
と共に、知識を本当に使える自らのマネジメントのナレッジとしていくコ
ミュニティ、場、活動として展開していくものです。

尚、立ち上げメンバーがテキサス大学オースティンで学んだ経験を日本の
活性化に役立てたいというのがこのコミュニティの発端のため、名称はテ
キサス大学オースティン校 McCombs MBA 非公式分校になっていますが、
参加者はテキサス大学関係者やMBA取得者である必要はまったくありませ
ん。この非公式分校はテキサスの「来る者は拒まず」の雰囲気を受け継ぎ、
MBAを持っていない方、MBAをこれから目指す方、テキサス大学以外でMBA
を取得された方、何れも大歓迎との事です。資格や肩書きではなく、マネ
ジメントの知識を実際の現場でのリアルな問題解決に使えるようにしたい
という意欲があれば誰でも参加できる場です。

記念すべき第1回は、リーダーシップをテーマに7月16日(金)19:00から
開催されます。第1回の詳細は以下の通りです。

■ マネジメントトピックスに関るディスカッション
◇日時:7月16日(金)19:00-20:00
◇テーマ:リーダーシップ
◇マネジメントトピックス:鋭意作成中
◇参考図書:「徹底のリーダーシップ」ラム・チャラン著 プレジデント社
 (参照リンク: http://amzn.to/d4njjb )
◇開催場所:株式会社 戦略調達オフィス セミナールーム
( http://www.mapion.co.jp/m/35.68215_139.736241666667_9/ )
東京都千代田区麹町6-2-6 ユニ麹町ビル4階(JR 四谷から徒歩2分。1階に
みずほ銀行が入っております。入口は建物を正面にみて左脇です。     
◇費用:1,000円(税込)。当日会場にてお支払い下さい。必要な方には
領収書を発行します。

■ Think&Drink
◇日時:7月16日(金)21:00頃から
◇開催場所:YOTSUYA BREWERY(新宿区四谷1-8 中川ビル1F)
http://r.gnavi.co.jp/g608302/map1.htm
Tel.03-3353-1009

■ 申込方法
マネジメントトピックスに関るディスカッション、Think&Drinkの何れも会
場設定の関係上、予め http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=29953
から、お申し込み下さい。

■ 詳細お問い合わせ先
このメールへの返信で構いませんので、弊社宛ご連絡下さい。
   
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【今週のトピックス】

これまで三回続けました事業仕分けから支出管理の典型的な手法をご紹介
する「事業仕分けを仕分けする」、今回で最終回です。

事業仕分けのニュースを見ていて、あなたも疑問に思ったのではないでしょ
うか?

「なぜ、誰が見ても一目瞭然のムダな支出がこう簡単にまかり通るのか?」

たとえば、

エネルギーや原子力への理解を求めた財団法人 日本立地センターの女性
誌への雑誌広告では、
●そもそもの意識調査が十分統計学的に処理されていない
●国の原子力安全行政の中で女性にターゲットを絞ることはあまり意味が
 ない
●既に色んな独法や公益法人で広報事業が行われており、この事業が女性
  を対象に料理教室などを開催しながら、エネルギーや原子力について考
  えた様子を雑誌に掲載することが、どういう波及効果があるのか不明

女性の労働環境、就業支援、健康促進を行なう財団法人女性労働協会の女
性と仕事総合支援事業に対しては、
●東京に箱モノを持ち、この財団に非競争的に国費を出すことは正当化さ
  れない
●同様の事業は自治体・民間で多数行われており、国として実施する特段
  の理由はない

水環境保全のための魚類繁殖場調査及び生物多様性の学習用簡易評価手法
を開発する社団法人 日本の水をきれいにする会に対しては、
●調査能力も全く欠如しており、業務委託先として不適当
●こういう団体に発注を認めてしまう発注側(環境省)の姿勢についても
  問題がある
●このような発注が認められれば何でもあり、になってしまう
●この法人のための事業発注になっているのではないか

宝くじの普及宣伝を行なう財団法人 日本宝くじ協会、財団法人 自治総合
センターについては、
●天下りの方々の高額給与の問題、過度に豪華なオフィス、複雑な交付形
  態、無駄な宣伝広報事業
●自動的に宝くじの収益がこれらの両団体に流れ、自治体による実質的に
 自主性を持った公益事業が行われていない

といった指摘がなされています。これらの指摘はもっともですが、見れば
見るほど、「こんなの予算をつける前にチェックできるよな」と思わざる
を得ないことばかりです。

これらのケースでは、明らかに、予算策定と執行段階のマネジメント、チェッ
ク機能が行政においてまったく働いていないということを示しています。
「だから、事業仕分けをやっているんだ」という反論もあるかもしれませ
んが、今のところ、事業仕分けは個々の案件をもぐらたたきのように叩い
ているだけで、この問題に正面から取り組んでいません。これでは、いつ
まで経っても、ムダはなくなりません。まあ、当人達は、汗をかいて、
「国民のために良いことをしている!」と気持ちよくなっているのかもし
れませんが。

今のもぐらたたき式のやり方では、ムダが生じてからそれを削りに行くの
で、少なくとも一定期間はムダが生じることになります。施設、空港、道
路、ダムといったプロジェクトモノ、箱モノの場合には、ムダが生じてか
らでは手遅れ、時には、撤退にコストが掛かるため、引くに引けなくなり、
ムダと分かっていながら、それを容認し、ムダを垂れ流し続けなければな
らない場合もあります。

もぐらたたき式のやり方には、前回ご紹介したとおり、組織には慣性の法
則があるため、予算を一度付けてしまうと、それが既得権益となり、抵抗
勢力を生むことで、見直されることがなくなってしまう恐れもあります。
特に、行政のような前例踏襲型の組織では、この危険性は非常に高くなり
ます。

地から自動的にお金を吸い上げられる、足りなくなれば簡単に借金ができ
る仕組みの為政者、行政の方々には分からないかもしれませんが、ムダを
削るのは実は非常に簡単なことです。方法は幾らでもあります。

たとえば、決めた範囲の中で予算を組む、予算にキャップを設けることで
す。私共のようなベンチャー企業では、資金も潤沢にある訳ではなく、必
要なマーケティングや事業開発もままなりません。だからといって、この
ようなベンチャーにお金を貸してくれる銀行はありませんし、ベンチャー
キャピタルですら、成功しそうなではなく、成功したベンチャーにしかお
金を出さない日本では、資金調達すらままなりません。このような環境で
は、最初から、予算には制限があるという前提の下、使える範囲の中で、
必要なものであっても火急でないものは削り、お金やスタッフの時間の最
大活用に知恵を絞ります。使う前に、ムダなモノなど発生させている余地
はないのです。財政が苦しくなると、すぐどうやって国民の負担を増やす
かということを考えるのとは、根本的に考え方が異なります。

キャップ制は非常に簡単に導入できる方法ですが、これだと、必要なもの
も含めた一律の予算カットや、本来ならば廃止するものまで残ってしまう
というデメリットがあります。

そうしたキャップ制のデメリットを補うものに、ゼロベース予算という考
え方があります。ゼロベース予算は文字通り、予算策定において、過去の
実績を白紙とし、その時の戦略に基づき、本当に必要なものに絞って、ゼ
ロから予算を策定する手法です。名前は忘れてしまいましたが、GEには、
セッションIIと呼ばれる中期経営計画の前に、予算どころか、ビジネスプ
ロセス、これまでの組織、工場の存在も白紙にし、「もし、今から新規に
今携わっているビジネスをやるとしたら、どのようにビジネスプロセス、
サプライチェーンを構築するか」と考えさせるセッションがありました。
いずれも、目的は、過去のしがらみに囚われることなく、現在ベストな方
法で事業を行なうにはどうすれば良いのかを考えさせることによって、予
算・組織に含まれているムダを洗い出すというところにあります。

ただ、予算の策定段階では、どのような方法、仕様で、誰が、どんな会社
を使ってということが検討されておらず、これらの方法でも、予算執行に
おける細かいマネジメント、チェックは働きません。予算の執行の過程で、
これらの詳細が詰められ、方法や仕様、取引先などが決められていきます。
事業仕分けで見てきたように、事業におけるムダは、目的そのものの誤り
を除けば、方法のムダ、過剰仕様、取引先の選定・管理方法など、この過
程で多く生まれます。つまり、ムダをなくしていくには、予算の策定段階
における管理では不十分で、予算の使途を明確化し、執行していく過程で
ムダを削ぎ落とすマネジメント、チェック機能が組織には不可欠なのです。

契約書を交わすまで、発注書を発行するまでならば、無数のオプションが
事業主体、買い手企業にはあります。仕様に潜むムダがあれば、幾らでも
削ることが可能です。もっとふさわしい取引先が見つかれば、簡単に切り
替えることができます。ところが、一度、契約書、発注書を交わしてしま
うと、コストは確定し、それを変えるには、手配した材料や部品、設備へ
の投資など相手にも損害が発生し、一気に難しくなります。

調達・購買の手法の一つに開発購買と呼ばれるものがあります。これは、
調達→設計→開発→企画と事業・製品・サービス開発プロセスの川上になれ
ばなるほど、採用する素材・技術・仕様・サプライヤの自由度が高く、コス
ト低減の余地も大きいことから、将来、量産段階に入った時の購買・オペ
レーションコストを開発プロセスの早い段階から考えて、企画、構想を練っ
ていくという手法です。俗に、コストの8割が設計段階までに決まってい
ると言われます。開発購買も、最終的な予算執行の決定をする前にムダを
削ぎ落とす手法の一つです。

このように事業に潜むムダを無くす方法は幾らでもあります。大切なのは、
これらの方法を、会計数字上に現われたコストを見て、もぐら叩き的なコ
スト削減にあわてて使うのではなく、ムダが発生してしまい、解消が困難
になるもっとずっと前、予算を使う段階までにこれらの方法を実施、予め
ムダを削ぎ落としてしまうことです。

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【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

正直に申し上げて、なぜ日本ではこんなムダばかり許されるのか、良く分
かりません。

小手先の対処療法ばかりで抜本的対策には逃げ腰、現場主導でマネジメン
ト不在など幾つかの要因が考えられるのですが、そうした問題に正面から
取り組まなければ、いつまでたっても問題は解決しません。

まだ、そうした問題を放置しておくだけの余裕が日本にはあるのかもしれ
ません。このままでは、失われた20年が30年、40年になるのはあっという
間でしょう(山本)

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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
 www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
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