【週刊 戦略調達 vol.50 2010.3.23】
パナソニックの「まるごと事業」に秘められた甘い罠
【今週のトピックス】パナソニックが、ホテル向けに家電から住設機器まで一括納入する事業に
乗り出します。パナソニックは、法人向け事業でグループの幅広い商品を
一括納入し、保守まで請け負う「まるごと事業」を新たな収益源とする方
針です。
この度、まるごと事業のホテル向けでの第1弾として、阪急阪神ホテルズ
のホテル阪急インターナショナルの客室一室に、家電や照明・音量調節シ
ステムを導入したとの事です。(出所:日本経済新聞 2010年3月12日 11面)
今回のパナソニックが納入した製品は、パナソニック製の3Dテレビなど家
電20品目以上、パナソニック電工の照明・音量調節システムなど多岐に亘
ります。
パナソニックは、昨年末、太陽電池や業務用冷蔵庫を得意とする三洋電機
を子会社化し、白物家電、AV機器のパナソニック、住設機器、照明技術の
パナソニック電工と合わせ、グループでは空間設備に対する幅広い品揃え
を確保できるようになりました。
この強みを活かそうというのが、「まるごと事業」なのでしょう。同社の
2010年の経営方針では、「家・ビル まるごとソリューション」となって
いましたが、ホテル、ショッピングセンター、店舗などの商業空間にも、
まるごとのターゲットは広がっているようです。
パナソニックでは、産業用ロボットも手掛けていることから、このまるご
とのターゲットは、病院や介護施設などの医療福祉分野、工場などの製造
分野にもゆくゆくは広がっていくことでしょう。
また、こうした取組みが広がれば、設備メーカのもう一つの強みである、
製品納入後の修理などの保守を競争なく取り込む事を活かして、かなり高
い収益があげられるでしょう。
売り手企業として、パナソニックの戦略は間違っていません。いや、この
戦略は非常に正しいものと絶賛されるべきものでしょう。
お客様にしてみても、複数のグループ会社の異なる事業部門毎に営業マン
がバラバラおしかけられるよりも、一人の営業マンに話をすればすべて持っ
てきてくれるという事になれば、話は簡単になります。加えて、パナソニッ
クも営業コストが削減できる事から、それが製品・サービス価格に反映さ
れ、直接的なコストメリットも享受できるかもしれません。
しかし、このパナソニックの戦略には、意図的か結果的にかは分かりませ
んが、巧妙な罠が仕掛けられています。
その罠とは、我われ買い手企業の調達・購買機能の一部を肩代わりすると
いう便利さを提供することで、少しずつ我われの調達・購買能力を失わせ、
パナソニックに頼らざるを得ないという状況を作り出すというものです。
分かり易い例で言えば、事務用品のアスクルや消費者向けのコンビニが、
簡単にモノが買えるという機能を提供することで、価格競争を回避しよう
としているのと同じことです。
ただ、設備購買が事務用品や消費者の購買と大きく異なるのは、その金額
が非常に大きいという事です。また、目指すところは、グループの営業窓
口の一本化ですから、品揃えにも限界があります。その時に便利さをとる
べきか、調達・購買能力の維持を取るべきかは、各社の判断にもよります
が、弊社は圧倒的に後者の立場です。
申し訳ないのですが、パナソニック、パナソニック電工、三洋電機がどれ
だけ優れた会社でも、彼らが提供するあらゆる製品・サービスがすべてに
おいてそれぞれの市場の中でベストである、ベストであり続けるというこ
とは考えられません。
事務用品や消費者の購買であれば、多少の品質・コストの差は目をつぶっ
て便利さを取るという判断はあるかと思いますが、設備購買でそうした判
断はあり得ないのではないでしょうか。
ただ、設備購買の難しい所は、購入頻度が少ないため、設備購買ができる
担当者の維持、確保、育成が非常に難しいという所にあります。求められ
る能力は非常に高いのに、それが発揮される機会は少ない。そうした中で、
買い手企業はついついエンジニアリング会社やゼネコンに頼ってきた。そ
の過程で、仕様・価格査定能力を失っていく。それと同じ臭いを、どうし
てもこのスキームには感じてしまいます。
ただ、パナソニックのこの取組みは、売り手企業としては、本当に正しい
戦略です。純粋にお客様のために、より良い製品・サービスを提供したい
という事からでも、同じ戦略に行き当たります。
パナソニックが悪事をしているとはまったく思いません。問題は、それが
自社にとって本当にベストかどうか評価できる能力を、我われ買い手企業
は持ち続けなければならない、ただそれだけ。パナソニックの今回の戦略
に我われが乗るのが正しいのか、乗らないのが正しいのかを、的確に評価
する。ただそれだけです。
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【東京工業大学大学院 キャリアアップMOT ストラテジックSCMコースの
ご案内】
東京工業大学大学院 キャリアアップMOT(CUMOT)サプライチェーン戦略
スクール ストラテジックSCMコースにて、弊社代表の中ノ森が講師を務め
ます。
CUMOTのプログラムは、東京工業大学大学院イノベーションマネジメント
研究科が主体となり連営する、企業の次世代を担う中核人材のキャリアアッ
プを支援する技術経営(MOT)教育プログラムです。
グローバル化する世界のニーズに応えて、新たなパラダイムに対応する新
しいサプライチェーンの創造が企業にとって大きな課題となっています。
サプライチェーン戦略スクールは、日本は個々の現場力、製品やサービス
の品質では海外に比べて勝っているのに、ビジネストータルとしてのサプ
ライチェーンマネジメント(SCM)やその成果としての収益力では遅れをとっ
ているという問題意識について、東京工業大学と産業界のメンバーが議論
を重ね、この現状を打ち破る解として、企画されたものです。
サプライチェーン戦略スクールの第一弾として、ストラテジックSCMコース
(春期)が、5月から8月にかけて開催されます。弊社代表の中ノ森は、こ
のストラテジックSCMコースでは、SCMにおける調達・購買機能のマネジメ
ントのあり方についての講義を担当します。当講義では、SCMにおける調
達・購買機能のマネジメントとはどうあるべきか、また、グローバル市場
におけるその先進事例について講義する予定です。
このコースでは、他にSCMの実務の一線で活躍しながら先端的な研究を怠
らない優れた方々を講師陣に迎え、企業の方々が、グローバル化の時代に
ふさわしい新しい構想に基づいて、幅広い経営的な視点と経営科学的なア
プローチで、それぞれの企業の戦略に即したサプライチェーン・マネジメ
ントを学び、それぞれの企業でのSCMの実現への道筋を見つけ出す力をつ
けて頂く事を目指しています。
これからのグローバル競争の軸となるSCMの根幹を理解した経営者として、
あるいはSCMのプロフェッショナルとして、日本の強み、文化を活かし、
グローバル競争に打ち勝つ、新しいSCMの形を一緒につくって行きたいと
いう経営者、経営幹部、経営企画、情報システム企画、調達・購買、生産
管理、物流部門の方々に、是非ご参加頂ければと存じます。
願書受付は3/1(月)~ 4/16(金)、締切日必着となります。志望理由な
ど、少し時間が必要と思われますので、お早めに準備頂く事をお勧めしま
す。カリキュラム概要、募集要綱などにつきましては、
東京工業大学大学院 キャリアアップMOTのウェブサイト
http://www.mot.titech.ac.jp/cumot/sss/scm/
をご覧下さい。
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【「穫れたて調達情報」コーナー開設のご案内】
弊社では、この度、お付き合いさせて頂いている優良サプライヤの方々か
らこっそり教えて頂いた、穫れたてのお得情報をご紹介する「穫れたて調
達情報」コーナーを、弊社サイト内に設けました。
「穫れたて調達情報」の第一弾は、バクテリアを99%捕捉する「サージカ
ル/メディカルマスク」と、花粉症対策や食品加工等の衛生作業向けの
「フェイスマスク」です。今回のお得な点は、中国工場からの直接調達に
よる価格優位性です。
今回のマスクご紹介を記念し、不織布三層マスクを関東地域への送料込で
1カートン=5,510円(50枚/1ケース×40ケース=2,000枚、1枚=2.76円)
で販売します。限定100カートンの特価販売です(関東地域以外の方は別
途ご相談させて頂きます。お気軽にお問合わせ下さい。)
「穫れたて調達情報」ならびに「サージカル/メディカルマスク」「フェ
イスマスク」の詳細情報はこちらです。 ⇒
http://www.samuraisourcing.com/partners/goods/
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【株式会社 戦略調達からの他の情報提供のご案内】
■調達・購買コスト削減、業務改善にお悩みの方必見!「どこから始める
調達・購買コスト削減?」セミナーテキストを無料配布】
弊社では、先般開催し、高い評価を頂いた「どこから始める調達・購買コ
スト削減?」セミナーテキストを無料配布しています。
詳細はこちら⇒http://samuraisourcing.com/news/post_10.html
セミナーテキストの申し込みは、タイトルを「どこから始める調達・購買
コスト削減セミナーテキスト希望」として、
* お名前
* 会社名
* 部署名
* 役職名
* お勤め先メールアドレス
* 電話番号
をご記入の上、ms1@samuraisourcing.com 宛に、もしくはこのメールの返
信にてお申し込み下さい。
※当資料の配布は、調達・購買・物流関連業務に携わっている方向けに行っ
ているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、コンサルティン
グ業やソリューション提供業の方の申し込みについてはお断りさせて頂き
ます。ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
■調達・購買から始める環境経営、環境調達.com
弊社では、喫緊の課題である環境問題に調達・購買活動から貢献すべく、
環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それに資する優良なサ
プライヤの紹介など、企業の調達・購買活動からできる環境経営に関する
情報発信を行う、環境調達.comを運営しています。
環境調達.comはこちら⇒ http://samuraisourcing.com/knowledge/green/
環境調達.comの開設に合わせて、毎週木曜日+都度、環境調達.comの新着
トピックスを無料でお届するメールマガジン「環境調達.com」の配信も開
始しました。メールマガジン「環境調達.com」のご購読はこちら(ご購読
は無料)⇒ http://www.mag2.com/m/0000293666.html
■調達・購買部門のマネジメントblog 「調達・購買部門の縦と横」
調達・購買部門のマネジメントのあり方について、1.部門マネジメント、
2.体系化、3.実践という弊社独自の視点により、ブログ形式でまとめ、弊
社サイトにご登録頂いた方に限り公開しています。詳細はこちら⇒
http://samuraisourcing.com/knowledge/blog/
※「調達・購買部門の縦と横」は、調達・購買・物流関連業務に携わって
いる方向けに行っているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、
同業他社様からの申し込みにつきましては、お申し込みをお断りさせて頂
く場合がございますこと、ご了承願います。
■調達・購買プロフェッショナル登録
当制度は、弊社でのポジションの有無に関わらず、調達・購買業務でキャ
リアを形成したいという方々に、希望する調達材カテゴリやご経歴などを
伺い、適したポジションの募集が生じた場合に、優先的にご登録頂いた方
へ働きかけるものです。
ご登録頂いた方には、定期的情報提供やトレーニング、各人の研鑽を目的
としたディスカッションセッションなどへのご招待といったメリットがあ
りますので、是非ご登録をお願いします。詳細はこちら⇒
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【弊社のお勧め】
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【編集後記】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
繰り返しになりますが、パナソニックのまるごと事業、非常に見事な戦略
です。
パナソニックのことですから、この営業窓口には、さっぱりとした印象の
非常に優秀な切れ者の営業マンが何人も張り付き、多くの企業が絡め取ら
れてしまうことが予想されます。
天下のパナソニックで製品・サービスの質も高く、営業マンもパリパリで
優秀。その丸抱えで何が問題かと思われたかもしれませんが、こうした時
に、自分達が仕様・価格査定能力を失っているか否かを、どれだけの企業、
経営者が理解しているでしょうか?
目先のコスト削減ばかり重視し、あるいは担当者にまかせ切りで、自社の
調達・購買能力のあり方を描けていない。
これは、余計な心配でしょうか?(山本)
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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
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