ナレッジ  » 週刊 戦略調達 vol.47 2010.3.2

【週刊 戦略調達 vol.47 2010.3.2】
家賃は下げられる!但し、交渉ではなく、調達で

【東京工業大学大学院 キャリアアップMOT ストラテジックSCMコースの
  ご案内】

東京工業大学大学院 キャリアアップMOT(CUMOT)サプライチェーン戦略
スクール ストラテジックSCMコースにて、弊社代表の中ノ森が講師を務め
ます。

CUMOTのプログラムは、東京工業大学大学院イノベーションマネジメント
研究科が主体となり連営する、企業の次世代を担う中核人材のキャリアアッ
プを支援する技術経営(MOT)教育プログラムです。

グローバル化する世界のニーズに応えて、新たなパラダイムに対応する新
しいサプライチェーンの創造が企業にとって大きな課題となっています。
サプライチェーン戦略スクールは、日本は個々の現場力、製品やサービス
の品質では海外に比べて勝っているのに、ビジネストータルとしてのサプ
ライチェーンマネジメント(SCM)やその成果としての収益力では遅れをとっ
ているという問題意識について、東京工業大学と産業界のメンバーが議論
を重ね、この現状を打ち破る解として、企画されたものです。

サプライチェーン戦略スクールの第一弾として、ストラテジックSCMコース
(春期)が、5月から8月にかけて開催されます。弊社代表の中ノ森は、こ
のストラテジックSCMコースでは、SCMにおける調達・購買機能のマネジメ
ントのあり方についての講義を担当します。当講義では、SCMにおける調
達・購買機能のマネジメントとはどうあるべきか、また、グローバル市場
におけるその先進事例について講義する予定です。

このコースでは、他にSCMの実務の一線で活躍しながら先端的な研究を怠
らない優れた方々を講師陣に迎え、企業の方々が、グローバル化の時代に
ふさわしい新しい構想に基づいて、幅広い経営的な視点と経営科学的なア
プローチで、それぞれの企業の戦略に即したサプライチェーン・マネジメ
ントを学び、それぞれの企業でのSCMの実現への道筋を見つけ出す力をつ
けて頂く事を目指しています。

これからのグローバル競争の軸となるSCMの根幹を理解した経営者として、
あるいはSCMのプロフェッショナルとして、日本の強み、文化を活かし、
グローバル競争に打ち勝つ、新しいSCMの形を一緒につくって行きたいと
いう経営者、経営幹部、経営企画、情報システム企画、調達・購買、生産
管理、物流部門の方々に、是非ご参加頂ければと存じます。

願書受付は3/1(月)~ 4/16(金)、締切日必着となります。志望理由な
ど、少し時間が必要と思われますので、お早めに準備頂く事をお勧めしま
す。カリキュラム概要、募集要綱などにつきましては、

東京工業大学大学院 キャリアアップMOTのウェブサイト
http://www.mot.titech.ac.jp/cumot/sss/scm/

をご覧下さい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【今週のトピックス】

一度決めた事務所や店舗の家賃は下げられないとお考えの方も多いかもし
れませんが、そんな事はありません。弊社も、つい最近、2ヶ月だけです
が、家賃の大幅引き下げに成功しました!しかも、それは、貸主からの一
方的な申し出です!!

今回は、その裏にある賃料引き下げに必要なテクニックについて、明らか
にします!

弊社も、家賃は下げられないと思っていました。いえ、今でも、交渉では
家賃は下げられないと思っています。ですので、入居以来ほったらかしに
してきました。それどころか、昨年、管理費上昇を理由とした賃料の値上
げがあり、それも甘んじて受け入れてきました。値上げ抑制の交渉に弊社
の人員の時間を割くよりももっと有効な時間の使い方があると考えていた
からです。

その内の一つは、移転先探しです。現在のオフィスはかなり良いもので、
移転先は当然、それよりも更に費用対効果の勝るものをと考えていたので
かなり難航しました。ようやく、千代田区で条件に適う物件が見つかった
ので、この度晴れて解約を申し入れたのです。そう、弊社では、さらさら
現在の貸主と賃料交渉をするつもりはありませんでした。

こちらとしては、解約の話なので淡々と済ませるつもりが、先方から、い
きなり「2ヶ月だけ賃料を○○円にしたら、考え直してくれますか?」と
の話が出てきたのです。その金額は、新しいオフィスの家賃よりも安かっ
たので、2ヶ月後に賃料が戻る事、その時には違約金なしにこちらは解約
できる事を確認し、新しいオフィスには、6月からの契約とする事を伝え、
2ヶ月分の家賃の大幅引き下げとなった訳です。

さて、何が起こっていたのでしょう?

実は、弊社は交渉ではなく、調達を行っていたのです。

「調達?調達って、交渉の事だろう?交渉では、家賃は下がらないって自
分で言ってるじゃないか!」

とあなたは思われたかもしれません。確かに、一般的には、調達、購買は
交渉で価格を引き下げる仕事と思われています。しかし、調達・購買のプロ
フェッショナル程、交渉では価格は下がらない事を知っています。調達・購
買の仕事は、簡単に言うと、必要なモノを適正な価格で取得する事であっ
て、交渉はその手段の一つにすぎません。しかも、交渉に関わる知識は、
あまりにも基本的すぎて、知らなければ馬鹿を見ますが、優れたサプライ
ヤ程その辺りの知識は備えており、優良な所になればなる程、交渉で価格
を下げる事はできません。

一般的には、価格の8割は必要なモノで決まり、その後の調達・購買による
価格低減の余地は2割にすぎないと言われています。しかも、その2割の内、
大きな要素は、交渉ではなく、どのサプライヤと交渉するかです。なぜな
ら、売価の主な決定要素は、サプライヤのコスト、競争環境、意思で、そ
の内のコストと意思が、各サプライヤやそのビジネスモデルによって大き
く異なるからです。例えば、どんなにあなたが交渉が上手くても、相手の
サプライヤが日本人を使っている限り、途上国と同じコストで同じモノを
提供するのは難しく、一方で、Googleのように圧倒的な立場にある会社は、
幾ら提供コストが限りなく0に近くても、交渉に応じる気はさらさらない。
かように、サプライヤにも事情があり、あなたの要請に応えたくても応え
られない、余裕で応えられてもさらさら応える気がないなど、相手によっ
て、交渉の結果は大きく左右されます。

加えて、オフィスや店舗は、企業の支出の中でも、かなり特殊な部類に入
ります。契約前は、ある程度、選択の余地がありますが、一度入ってしま
うと、引越しや現状回復、引越しに関わる印刷物などの刷り直しなど、スィッ
チングコストが大きく、短期間でこれらの費用を回収できるくらい賃料が
安いといったメリットがないと、なかなか切替ができません。店舗の場合、
これに、今まで培ったお客様のトラフィックを一気に失い、一から作り直
すリスクが加わるため、なかなか、見直しという訳にはいきません。貸主
もその辺りの事情は見越していますので、賃料引き下げ交渉にはなかなか
乗ってくれません。皆さんが一度決めた事務所や店舗の家賃は下げられな
いと考えるのは、あながち間違っていないのです。

「家賃削減代行の会社はどうなんだ?彼らは交渉で価格を下げると言って
いるぞ」

と思われたかもしれません。確かに賃料交渉、家賃削減代行会社の中には、
交渉だけというものもあるかもしれませんが、弊社が付き合っている会社
は、各社とも、類似物件の賃料のDBを持ち、それをベースに担当物件の適
正賃料を算出し、それを基に交渉します。ですので、彼らは、基本的には、
適正な価格までの家賃引き下げには対応しますが、それ以上の引き下げに
ついては大抵は引き受けません。それ以上は交渉で下がらない事、ムダな
作業になる事が分かっているからです。

交渉術や交渉学は、目的を達成するためにどうメッセージを伝えるか、ど
う相手のメッセージに反応するかというコミュニケーション論が中心です。
そう考えると、賃料交渉、家賃削減代行会社のノウハウ、価値の源泉は、
交渉というよりも、適正賃料の算出にあります。彼らのやっている事は、
交渉ではなく、調達で言うところの市場ベンチマークの収集やコストモデ
リングにあたります。地域別、物件タイプ別にどれだけ細かいメッシュで、
どれだけ多くの賃料情報を低コストでリアルタイムに集められるかが、こ
れらの会社による交渉の成果を左右します。

こうして見ていきますと、賃料交渉は、やはり、手狭になってなどの理由
で、現在の所から退去しても良いという時に行うのが、最も効果的です。
ただ、賃料相場は上下しており、現在も下げ基調です。また、当初の契約
が適正賃料で行われている保証はありません。ですので、これまでに、適
正賃料を基にした交渉を行われていないのであれば、契約継続を前提とし
ても、かなりの成果が出る場合があります。相手の貸主が、貴社が転居の
覚悟があるのか、貴社が転居後、次の入居者がどれ位の早さで決まるか、
その時の賃料がどれ位になっているかといった点についてどう考えている
かが鍵になります。いずれにしても、家賃引き下げを打診するだけならば、
貴社のリスクは低いので、悪くない話です。

最後に、家賃交渉を行う際の留意点について、二点ほど述べておきます。

こうして種明かしをすると、多くの会社が自前で、類似物件の情報を調べ
て、自分達でやろうと考えます。しかし、仕組みもなく、何件かの不動産
会社に電話して得た情報ではあまりにも限りがあり、それが実際の相場を
反映している保証はありません。

弊社でも、賃料交渉の代行なら幾らでもできますが、適正賃料の算出は、
必要な仕組みの構築が簡単にはできないため、家賃の引き下げでは、こう
した会社と協力して行っています。

あるチェーンストアは、こうした家賃交渉代行会社を起用して、1年ほど
家賃引き下げプロジェクトを行った後、ノウハウが溜まったとして、自分
達で賃料交渉部門を立ち上げたとの話を伺いました。個人的には、溜める
べきは細かいメッシュのリアルの賃料データです。しかも、それらは3ヶ
月もすれば、相場が動いてしまっているので、クズになってしまいます。
余程大きなチェーンでないとそうした情報の収集・蓄積は難しく、単純に
人を貼り付けても、成果は出ないのではと考えます。

家賃交渉代行会社は殆どが成功報酬なのですが、引き下げに成功し、実際
の支払いが生じると、すべて自分達のものにしたいというのが人情のよう
です。ただ、ここは彼らの本当のノウハウの部分には敬意を示し、それを
いかに確保するかを考える方が得策です。

幸いにして、家賃交渉代行会社はかなりの数ありますので、それらを競争
させる、完全成功報酬型ではなく、固定+成果連動フィーとするなど、こ
こでも調達が必要です。チェーン店の場合、カテゴリーソーシングも有効
です。家賃交渉代行会社毎に、得意とする地域やビル店舗、郊外型、SC内
など得意物件タイプが異なるため、すべての対象物件情報をすべて渡した
上で、自分達の得意な物件のみに絞った場合など、どのような組み方があ
るか提案してもらった上で、得意分野毎に数社を使い分けるという方法で
す。

もう一つは、解約通知は、特に、切替コストの大きい物件の時には、本当
に転居の覚悟がある時のみに使うべきという点です。

確かに、解約通知を出さないと、貸主が真剣に取り合ってくれない可能性
があります。弊社のケースでも解約通知をして初めて、家賃が下がりまし
た。とはいえ、そのような貸主は、現在の賃料は適正である、もしくは次
の貸し手の算段がついているなど、自分なりの考え方があっての事だと思
われ、本当に解約通知を出せる状況にならないと交渉になりません。

ある貸主さんから聞いた話ですが、「賃料引き下げプロジェクトの一貫で
どの物件も一律10%の賃料引き下げをお願いしている、条件に応じなけれ
ば退去する」とFAX一枚で通告してきた企業があったそうです。この貸主
は退去されても構わなかったので、その旨告げた所、担当者とその上司が
血相を変えて慌てて謝罪に来たそうです。それが、その後の交渉にどれだ
け影響したかは、容易に想像がつくでしょう。

このように代替案もない中で、一方的に最後通告する方法は、あまりにも
稚拙で、不動産だけでなく、いかなる商取引でも絶対に真似をしてはいけ
ません。ちなみに、この相手は、巷では名門の誉れの高い大手上場企業の
購買部門であったとの事です。

まだまだ日本は平和です :)

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【「穫れたて調達情報」コーナー開設のご案内】

弊社では、この度、お付き合いさせて頂いている優良サプライヤの方々か
らこっそり教えて頂いた、穫れたてのお得情報をご紹介する「穫れたて調
達情報」コーナーを、弊社サイト内に設けました。

「穫れたて調達情報」の第一弾は、バクテリアを99%捕捉する「サージカ
ル/メディカルマスク」と、花粉症対策や食品加工等の衛生作業向けの
「フェイスマスク」です。今回のお得な点は、中国工場からの直接調達に
よる価格優位性です。

今回のマスクご紹介を記念し、不織布三層マスクを関東地域への送料込で
1カートン=5,510円(50枚/1ケース×40ケース=2,000枚、1枚=2.76円)
で販売します。限定100カートンの特価販売です(関東地域以外の方は別
途ご相談させて頂きます。お気軽にお問合わせ下さい。)

「穫れたて調達情報」ならびに「サージカル/メディカルマスク」「フェ
イスマスク」の詳細情報はこちらです。 ⇒
http://www.samuraisourcing.com/partners/goods/

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【株式会社 戦略調達からの他の情報提供のご案内】
■調達・購買コスト削減、業務改善にお悩みの方必見!「どこから始める
 調達・購買コスト削減?」セミナーテキストを無料配布】

弊社では、先般開催し、高い評価を頂いた「どこから始める調達・購買コ
スト削減?」セミナーテキストを無料配布しています。

詳細はこちら⇒http://samuraisourcing.com/news/post_10.html

セミナーテキストの申し込みは、タイトルを「どこから始める調達・購買
コスト削減セミナーテキスト希望」として、

    * お名前
    * 会社名
    * 部署名
    * 役職名
    * お勤め先メールアドレス
    * 電話番号

をご記入の上、ms1@samuraisourcing.com 宛に、もしくはこのメールの返
信にてお申し込み下さい。

※当資料の配布は、調達・購買・物流関連業務に携わっている方向けに行っ
ているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、コンサルティン
グ業やソリューション提供業の方の申し込みについてはお断りさせて頂き
ます。ご理解ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

■調達・購買から始める環境経営、環境調達.com
弊社では、喫緊の課題である環境問題に調達・購買活動から貢献すべく、
環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それに資する優良なサ
プライヤの紹介など、企業の調達・購買活動からできる環境経営に関する
情報発信を行う、環境調達.comを運営しています。

環境調達.comはこちら⇒ http://samuraisourcing.com/knowledge/green/

環境調達.comの開設に合わせて、毎週木曜日+都度、環境調達.comの新着
トピックスを無料でお届するメールマガジン「環境調達.com」の配信も開
始しました。メールマガジン「環境調達.com」のご購読はこちら(ご購読
は無料)⇒ http://www.mag2.com/m/0000293666.html

■調達・購買部門のマネジメントblog 「調達・購買部門の縦と横」
調達・購買部門のマネジメントのあり方について、1.部門マネジメント、
2.体系化、3.実践という弊社独自の視点により、ブログ形式でまとめ、弊
社サイトにご登録頂いた方に限り公開しています。詳細はこちら⇒
http://samuraisourcing.com/knowledge/blog/

※「調達・購買部門の縦と横」は、調達・購買・物流関連業務に携わって
いる方向けに行っているため、企業・機関・団体様を特定できない場合や、
同業他社様からの申し込みにつきましては、お申し込みをお断りさせて頂
く場合がございますこと、ご了承願います。

■調達・購買プロフェッショナル登録
当制度は、弊社でのポジションの有無に関わらず、調達・購買業務でキャ
リアを形成したいという方々に、希望する調達材カテゴリやご経歴などを
伺い、適したポジションの募集が生じた場合に、優先的にご登録頂いた方
へ働きかけるものです。

ご登録頂いた方には、定期的情報提供やトレーニング、各人の研鑽を目的
としたディスカッションセッションなどへのご招待といったメリットがあ
りますので、是非ご登録をお願いします。詳細はこちら⇒
http://samuraisourcing.com/recruit/recruit/entry.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【弊社のお勧め】

■『 中国調達とものづくりの現場から』(メルマガ)
バイヤーキャリア15年、中国調達7年の産機部品バイヤーのZhenさんの中国
調達実践論。その視点は、中国調達だけでなく、すべての調達に通じます。
無料購読はこちら⇒ http://www.mag2.com/m/0000241825.html

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

弊社では、お客様の組織的かつ継続的な調達・購買力の向上やプロフェッ
ショナルなバイヤの育成に資するべく、調達・購買業務ならびにそのマネ
ジメントに関わるスキル・知識・技術の理論化、体系化を図る事が、事業
目的の一つでもあります。

ですので、この度、弊社のメンバーが、皆様のご支援にて、サプライチェー
ンマネジメントをリードする第一線の方々と共に、東京工業大学大学院キャ
リアアップMOTでの講義を、担当する機会を頂けた事に感謝の意を表すと
共に、また、その重責を全うすべく研鑽して参りますので、これからもご
指導ご支援の程宜しくお願い申し上ます。(山本)

―――――――――――――――――――――――――――――――――
【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
 www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
■ご意見、ご感想、お問い合わせは ms1@samuraisourcing.com
  トピックスの選定や構成も皆様の声に合わせていきます  ので、ご意見、
  ご感想をお寄せ下さい。(このメールへの返信でできます)
■引用、転送などは、出所を明記して頂ければ、了承を得たものとします。
■よろしければお知り合いや職場の方々へ、この「週刊 戦略調達」をご
 紹介・ご転送下さい。「週刊 戦略調達」のご購読申し込み(ご購読無
 料)は⇒ http://www.mag2.com/m/0000288812.html

このページの先頭へ