週刊 戦略調達 vol.4 2009.5.5
「日立建機、子会社と調達一本化」
【今週のトピックス】日立建機と連結子会社のTCMはグループ内で油圧ショベルやホイールロー
ダーの資材調達を一本化する。対象はエンジンや鋼材、バルブなど油圧機
器27品目約3500点の部品で、共同の窓口から調達を始める。取引先の絞り
込みなども進め、日立建機で、2008年度の資材費の約5%に相当する年間
約60億円のコスト削減を目指すとの事です。
(出所:日本経済新聞 2009年4月28日 11面)
「集中購買、共同購買で規模を活かして価格交渉力を強化」、良く聞く話
ですが、実際にはそれ程進んでいません。それどころか、一つの会社内で、
事業部別、工場別に原材料、部品を調達している、或いは、営業所別に事
務用品、印刷物、販促物などを購入しているといったケースの方が多いの
が実態ではないでしょうか?
その一つの理由は、そもそも何をどこから買っているか把握できないケー
スが殆どだからです。「発注の際には注文書を書いているのだから、まさ
か」と思う方が多いかもしれませんが、会計処理では、品目の情報は不要
のため、勘定科目で括られてしまい、何を買ったかは分からなくなってし
まいます。また、支払先と勘定科目が紐づかない形になっており、取引先
との取引金額は分かっても、その取引先と何を取引しているのか、簡単に
は把握できないケースも少なくありません。
何を買っているのが分からなければ、何を一本化するか、モノと取引先が
紐づかなければ、誰と何を交渉するかも決まらず、集中購買、共同購買を
しようとしても話が進まず、最初でつまずいてしまうのです。
こうした障害を打破する方法として、「データクレンジング」という手法
があります。これは、紙の発注書や異なるデータベースから情報を集め、
品目や取引先の名寄せ、分析のためのカテゴリの付与などを人やシステム
を介して行い、購買情報を分析可能な形としてデータベース化する手法で
す。
ただし、データクレンジングは、あくまでも、実態を把握するのに必要な
情報を提供するだけで、費用は下がりません。そのためか、非常に有効な
手法なのに、あまり普及していません。コスト削減や経費削減という事に
なると、結果だけを求め、必要な投資すら惜しむ企業が多い事が、データ
クレンジングの普及を妨げているのでしょう。
実態を把握しなければ、先に進むことはできません。ある会社では、デー
タクレンジングに数千万円を投資しました(この会社のデータ量は相当な
規模であったと思われます。通常はデータ量と元データの整理具合に左右
されますが、数百万円程度からとなります。)それでも、この担当者の方
は、十分なメリットがあったとはっきりと仰っていました。
多くの場合、「集中購買、共同購買で規模を活かして価格交渉力を強化」
というのは、幻想に過ぎません。まず、スケールメリットで取引先の態度
を変えさせるには、交渉金額の桁が一つ増えるというような取組が必要で
す。加えて、取引先を集約・代替しない限り、取引先から見れば、取引量
は変化しません。
それでも、データクレンジングが効果を発揮するのは、スケールメリット
ではなく、部門や取引毎にバラバラだった取引価格が比較可能な形になる
ため、最安値のものに合わせられるという短期的メリットと、購買実態を
把握することによる取引先の選別、商流の変更、物流の一元化など調達戦
略の多様化による長期的メリットによるものです。
日立建機さんの目標が、前年対比で5%のコスト低減に留まっているのは、
この辺りの難しさをご存知だからでしょうか。
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としたディスカッションセッションなどへのご招待といったメリットがあ
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http://samuraisourcing.com/recruit/recruit/entry.html
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【編集後記】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。今回のデータクレンジン
グも含めて、調達・購買業務で改善できる所は幾らでもあると思います。
ただ、そのためには、手間・時間を掛けるか、お金を掛け外部の力を借り
るかの何れかが必要になるのですが、本文中にも書きました通り、多くの
企業が結果だけを求め、必要な投資すら惜しんでいるために、そうした機
会を捉えられていないと感じます。
その原因は経営者が調達・購買業務の実務を理解していないために必要な
投資を怠っている、調達・購買部門が、調達・購買業務の重要性を経営層
に伝えられておらず、必要な投資を獲得できていないといった事もありま
すが、最大の壁は、経営層も調達・購買部門も「調達・購買業務でできる
事はこんなものではないか」と思う事にあるのではないかと考えています。
「こんなものか」と思った時に、人、部門、組織は成長を止めます。常に
「今、自分はベストな仕事をしているのだろうか」を疑う事が良い仕事を
する鍵であり、各自がそうした問いを繰り返す組織を作る事が経営者の仕
事であると思います。
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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
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