ナレッジ  » 週刊 戦略調達 vol.37 2009.12.22

【週刊 戦略調達 vol.37 2009.12.22】
業務手順書から業務を設計する

【今週のトピックス】

今回は、弊社のサービス事例からの考察で、業務の手順書作成の機会を捉
えて、あるべき業務を本当に設計しましょうというお話です。

最近、弊社が依頼された仕事の一つに、海外子会社向けの調達・購買業務
手順書の作成がありました。特に、調達・購買システムを導入するという
事ではなく、純粋に調達・購買業務の手順書のみを作成する仕事です。

最初のメールでの問い合わせを受けた時には、調達・購買管理の教科書は
世にあまたあるので、J-SOX絡みなどの表面上の内部統制の帳尻合わせな
らば、それを参考に自分達で作れば済む話ではという印象を受けました。

実際に話を伺った所、J-SOXなどはまったく関係なく、新会社を作るにあ
たって、海外という事で自分達の目も届きにくく、実効性のある調達・購
買の統制の仕組みをつくりたいが、社内に調達・購買を専門にしている人
材がいないという事で、監査法人や弊社に打診しているとの事でした。

弊社からは、監査を通すための業務手順書はお役に立てないが、調達・購
買のあるべき姿を実際の業務に反映するための手順書であれば、弊社の事
業活動そのものというお話をさせて頂いた所、そうした事業運営が評価さ
れたのか、このお客様の調達・購買業務手順書の作成を任せて頂く事とな
りました。

実効性のある手順書を作るとなると、確かに教科書のつまみ食いでは上手
くいきません。教科書が説くエッセンスを理解した上で、業務のあるべき
姿を想定し、それが実効性があるものかを確認していかなければなりませ
ん。そうして出来上がった業務のイメージを手順書にしていくという流れ
が必要です。それには、あるべき姿のビジョンと、それを現場に展開する
クリエイティビティ、そして現場に展開した後の実際の業務をイメージで
きる想像力が不可欠です。監査や審査対応の時になかなかよい業務手順が
生まれないのは、それらがビジョンやクリエイティビティ、想像力を抑制
する方向で働くからです。

これは、システム設計の流れとまったく変わりませんが、システム設計の
場合、設計の結果が実際のシステムという目に見える形になり、必要な手
順の漏れや各手順の整合性の確認がしやすいため、きっちりと作られます。
それに比べると、業務手順書は中途半端なものでも通ってしまいますが、
あるべき姿をできる限りシンプルに実効性のある業務に落とし込むという
設計思想は、業務手順書でも体現されるべきです。

今回のスコープは、手順書のページ数としては、各種申請書などのサンプ
ルを含めても十数ページのシンプルなものですが、その間のディスカッショ
ンを通じて、お客様の調達・購買業務のマネジメントについての思想や、
漏れていた観点、煩雑になっていた部分の発見、整理ができました。お客
様の方でも、そこに今回の委託業務の価値を見出しておられたようです。

見せかけの内部統制の体裁を整えるため、ISOを取得するためなど形だけ
の手順書やマニュアル作りにはまったく興味もありませんし、価値も見出
せませんが、業務のあるべき姿を手順書に落としてみるという姿勢で、業
務手順を手順書やマニュアルに明らかにしてみると、思わぬ抜け漏れ、重
複がある事が明らかになります。これは調達・購買業務に限らず、何れの
業務にも言える事です。

あなたも、この機会に、監査対応やISO取得といった機会に囚われず、あ
るいは、そうした時でもやらされで仕事をするのではなく、あくまでも業
務のあるべき姿を手順書に落とすという前向きの姿勢で、業務手順書を作
成、見返してみてはいかがでしょう。

システム導入と違って自分一人でもできる事ですし、自分でやればお金も
掛かりません。

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【編集後記】

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

今回のお客様は、もともと調達・購買業務をこういう形でマネジメントし
ていきたいという意志をお持ちだったので、弊社からのあるべき姿の提案
の採否につき、非常に活発かつ有意義なディスカッションをさせて頂きま
した。

どんな経営手法も、「この目的のためにこうしたい。だからこれを使うん
だ」という意志がないと、形骸化したり、ゆがめられてしまい、成果を上
げるどころか逆効果になる事が少なくありません。

マネジメントって、理論や手法だけでは足りなくて、最後はマネジメント
する人間の意志だよなぁと改めて思わされた仕事でした(山本)

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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
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■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
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