【週刊 戦略調達 vol.13 2009.7.7】
サプライヤの値上げが買い手企業を強くする
【今週のトピックス】日本航空が、国際貨物事業の採算確保に向け、国際貨物運賃を全路線で30
%の値上げを、顧客であるフォワーダーに対し要請します。
(出所:日本経済新聞 2009年7月3日)
上海、台湾向けの液晶関連部品や広州向けの自動車部品の輸送など一部で
需要が回復してきたこと、国際航空貨物事業は、競合も含めて採算が取れ
ておらず、2008年度は日航が200億円、全日本空輸が120億円、日本貨物航
空が185億円程度の赤字といった事を材料に交渉するのでしょうが、景気
低迷を受け、物流費削減を加速させている荷主から値下げを要求されてい
るフォワーダーは、容易にこの要請を受けないでしょう。
日航は値上げを受け入れられなければ取引を打ち切ることも視野に入れ、
交渉に臨むとしていますが、どのような決着を見るかは分かりません。
弊社は、顧客の言いなりになるのではなく、自らの意思を持って経営に取
組むサプライヤのこうした動きは望ましいものと考えます。競合が数多く
存在し、乗り換えが簡単にできるような市場ならば別ですが、限られたサ
プライヤと継続的に付き合っていかなければならない市場では、サプライ
ヤが適正な利益を確保し、提供する製品・サービスの改善に再投資しても
らう事が、長期的には自社にとってもメリットがあると考えます。
サプライヤが値上げを申し出るという事は、ギリギリの取引を行っている
事のサインかもしれません。ギリギリの取引を続けていると、お互いに取
引の効果・効率を改善するには、工夫を生む努力をするしかありませんか
ら、それが調達・購買部門の組織的な力を更に高める事にもつながります。
サプライヤがこちらの言いなりになってホイホイと有利な価格や取引条件
を出してくるのでは、わざわざ専任の調達・購買部門を設ける必要があり
ません。そもそも、そういう時は、買い手企業が、ギリギリの条件を勝ち
得ていないという事を疑うべきです。
ギリギリの取引を妨げるものに、コスト削減額での調達・購買部門、担当
者の管理があります。このような管理下では、調達・購買部門、担当者は、
社内で値上げ申請を上げると自らが叱責されるのを恐れて、バッファーを
確保しておこうとします。コストを抑えようと意図した事が、逆にコスト
高の要因になっているというのは、皮肉なものです。
とはいえ、サプライヤからの値上げ要請を買い手企業は受け入れるべきと
いう事ではありません。サプライヤの申し出が理にかなっているのであれ
ば、受け入れるべきですが、そうでなければ、サプライヤの経営努力を促
すべきです。
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【株式会社 戦略調達からのお知らせ】
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【編集後記】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
7/3(金)の「どこから始める調達・購買コスト削減」セミナー、多くの
方にご参加頂き、盛況のうちに終わりました。お忙しい中ご参加頂いた方、
ありがとうございました。
今回のセミナーでは、普段コンサルティングで行っている事のさわりを話
したのが好まれたようです。フィードバックで特に好評だったのが、「わ
くわくする調達・購買部門のビジョンを持つ」という点です。
多くの企業で、調達・購買部門の位置づけが曖昧、必要な投資・支援・人
材育成の不足で、現場の方々がわくわくしながら仕事ができていないのを
目の当たりにして、非常に残念に思うと共に、これが調達・購買コスト削
減、調達・購買業務の改善を阻む大きな要因の一つと考えています。
欧米では、調達・購買部門に配属される人間は、Purchasing Professional
と自認し、誇りを持って仕事に打ち込んでいます。
しかし、日本では、調達・購買部門は、物流部門と同じように、営業と生
産管理の間のバッファーとして、発注・納期管理に追われる、或いは、価
値を発揮することができず、要求部門から単なる官僚組織として見られて
いる。これは、個々の調達・購買担当者のスキルうんぬんの前に、職掌と
権限という経営、部門マネジメントの問題と弊社では考えています。
とはいえ、日本では、大手企業になればなるほど、トップマネジメントの
機能が弱いので、職掌と権限が上から与えられる事はなく、自分で勝ち取っ
ていくしかありません。
「わくわくする調達・購買部門のビジョン」とは何かについては、お会い
した時にお話しますので、お気軽にお声がけ下さい。 (中ノ森)
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【週刊 戦略調達】
■発行者 株式会社 戦略調達 中ノ森 清訓
www.samuraisourcing.com
■発行日 毎週火曜日
■創刊 2009/4/16
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