【環境調達.com 第25号 2009.12.10】
百貨店統一ハンガーリサイクルシステムに学ぶLeanでGreenな事業づくり
【環境調達.com 新着トピックス】あなたは、百貨店統一ハンガーリサイクルシステムをご存知ですか?
百貨店統一ハンガーリサイクルシステムは日本百貨店協会、日本アパレル
産業協会、統一ハンガー協議会のユーザ、メーカ、回収・処理企業の三団
体による百貨店で用いられるハンガーのリサイクルシステムです。
今回は、百貨店統一ハンガーリサイクルシステムの成り立ちを見る事で、
LeanでGreenな事業プロセスを構築するかを学びます。
百貨店の店頭に並ぶ洋服は、配送時にできるしわ防止のため、一着一着ハ
ンガーに掛けて納品され、売り場で各店のハンガーに掛け替えた上で陳列
されていました。 納品時に使用されたハンガーは、プラスチックゴミと
して各店で廃棄されていました。
91年、ハンガーメーカ日本コパックの斎藤社長は、東京・夢の島を見学し
た時に、埋立場で積み上げられたハンガー。その光景に意を決し、ハンガー
リサイクル事業を開始しました。
翌年には大手チェーンストアの賛同を得てハンガーのリサイクルを開始、
95年には日本百貨店協会、日本アパレル産業協会などと、リサイクルを推
進するハンガーBPR協議会に参加。ハンガー業界でも統一ハンガー協議会
を設立し、そこで「百貨店統一ハンガー」規格を制定した所、全国の百貨
店にもリサイクル事業が広がり始めました。
百貨店統一ハンガーは、規格を統一する事で、流通から店頭ディスプレー
まで同じ一本のハンガーを使用します。 形状は百貨店とアパレルが共同
で開発し、紳士・婦人の各アイテムに合わせて約30種類に集約。 商品販
売後、店頭で不要になったハンガーをリフォーム工場に送付、洗浄・メン
テナンスの後、再びアパレルメーカに納品という仕組みです。
百貨店統一ハンガーのスタート当時は、全国の百貨店で廃棄されたハンガー
は年間約5,000万本、4tトラック換算で約2,500台に上りましたが、2007年
には、約2,000万本の統一ハンガーが出荷され、統一ハンガー協議会の試
算によると、このシステムにより10年間で削減できた廃棄ハンガーは1億
5千万本、4tトラック換算で7,500台に及びます。
ハンガーリサイクルシステムは、百貨店だけではなく、量販店にも広がっ
ており、また、小売店舗向けには、2010年からの実導入に向け実証実験を
日本アパレル産業協会が進めています。
とはいえ、日本コパックのハンガーリサイクル事業は、立ち上げ初年度は
2億円、次年度は1億の赤字との事で、収益だけを考えては、事業の継続は
なかったでしょう。それでも継続されたのは、立ち上げのきっかけともなっ
た斎藤社長の「志」でしょう。
日本コパックによると、事業が継続できる形になったのは、従来、縫製工
場の生産用ハンガー、アパレルの物流用ハンガー、百貨店の陳列用ハンガー
と3種類あった百貨店のハンガーを、アパレルが納品したハンガーをその
まま陳列用に採用する事で一つに纏めた百貨店の英断だったとの事です。
ハンガーを売場什器ではなく、物流手段という機能として捉え、1本120円
のハンガーを持つのではなく、1回あたり40円のリースとして利用するとい
う発想の転換により、継続的事業として運営できるようになりました。
こうして百貨店統一ハンガーリサイクルシステムの成り立ちを見てきます
と、LeanでGreenな事業づくりには、
■ お客様が環境負荷低減の価値を認め、適正な対価を支払う
■ ユーザ、流通、メーカ、事業者の多くのプレーヤーが関わるため、皆
にメリットが出るようにする
■ 業界全体への拡がりを考える
■ お客様の啓蒙、商慣行の変更、デファクトスタンダード化など、単な
る製品の販売では終わらない仕組みづくりの要素が強く、収益化まで
時間が掛かるので、それを支える資本体力
などが考えられますが、こうした技術的な要素よりも、最も大きいのは、
大変な仕事をやり抜く事業者の志と、利害関係が錯綜するユーザ、流通、
メーカ、事業者各段階のプレーヤーに、自社のエゴを捨て、その志実現に
協力してくれる人がいるという「人」や「縁」の要素が大きいと感じます。
<参考文献>
1.日本コパック株式会社ホームページ
2.「循環物流実務経験を踏まえての『物流環境管理士』の現状と今後の
方向性」第12回ロジスティクス懇話会 2006年6月17日 日本本コパッ
ク株式会社 物流環境管理士会会長 柳橋裕正氏講演資料
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【編集後記】
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
今回のハンガーリサイクルの成り立ちを知り、改めて、事業は儲からなけ
れば成り立ちませんが、それだけではつまらない。志がなければ、やる価
値がないと感じました。
また、「経営は運」とよく言われますが、志の実現に協力してくれる人と
の出会いという「縁」も運の一つだからでしょう(山本)
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